前回は、過去3年以内の住み替えに関する実態について解説しました。今回は時間軸の視点を未来に向けて、「今後3年以内の住み替え予定」に関する意識面にフォーカスして解説していきたいと思います。

●前回記事:【若年層は「住み替え」をどう考え、実践しているのか。住宅価格上昇の裏でとられている「リアルな選択」】

年代が上がるにつれて「持ち家」への住み替えが増加

前回同様に、現在の住居形態が、「賃貸」・「持ち家(自己所有)」の方に、「今後3年以内に住み替える予定があるか」を調査しました【図表1】。結果としては、過去の住み替え実態同様に20代が、約半数(46.9%)と、住み替え意識が最も高く、30代で約3割(32.4%)、40代で2割(18.9%)、50代・60代では約1割と、年代が上がるにつれて住み替え意識の割合が低下していることがわかります。

全体の傾向からみると、50代以降くらいから今後の住み替えに対するニーズは、一定の落ち着きが伺えますが、逆に50代・60代で約1割の「住み替える予定」と回答している方は、どのような住み替えを考えているのでしょうか。

【図表1】年代別 今後3年以内の住み替え意識について

*回答者:現在「持ち家(自己所有)」、「賃貸」の居住者
(出所)特に出所を示していない場合、三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2024年)よりミライ研作成

【図表1】で「住み替える予定」と回答した方を対象に、住居形態の変化(予定)についても尋ねました【図表2】。20代~40代では住み替え先に「賃貸」を選択される方が過半数となっていますが、逆に50代・60代では住み替え先に「持ち家」を選択される方が過半数(50代:52.3%、60代:77.5%)となっています。またその中でも特筆すべき点として、「現在既に持ち家に居住しているが、今後3年以内に『別の持ち家』へ住み替えを予定している」と回答した方の割合が、50代では37.3%と他年代よりも高く、さらに60代では60.1%と、特に高い結果となりました。

これらの結果から、50代・60代で今後3年以内に住み替える予定と回答している方自体は、全体からすると約1割ではあるものの、その1割の方は、既に持ち家に居住していたとしても、新たに持ち家へ住み替えたい意識が強く、特に60代ではその傾向が顕著であることがうかがえました。

では、この住み替え意識の高さは、どういった要因が考えられるでしょうか。

【図表2】年代別 住居形態の変化(ベース:今後3年以内に住み替える予定)

*回答者:現在「持ち家(自己所有)」、「賃貸」の居住者