相続がきっかけで兄弟が対立する。これはどんな兄弟にも起こり得る問題だ。そして、遺産分割をめぐる争いは、感情的な摩擦を生むことが多く、解決が難しいこともある。それゆえ、争いを回避するために遺言書の作成は必須と考えておきたい。この記事では、遺言書によって兄弟の遺産をめぐる争いが止められた事例を紹介しよう。
父親が心臓発作で亡くなり、話し合いを始めた鈴木兄弟
鈴木兄弟(仮名、以下同)は3兄弟だ。兄弟仲は特別良くもなければ悪くもない。一般的な兄弟といえる。これまで特に兄弟間で大きな問題が起こることはなかったが、ここにきてかつてないほど大きな事件が起きた。父親の幸次さんが突然の心臓発作で亡くなったのだ。
幸次さんはそこそこ大きな企業に勤務していた。かつ節約志向だったこともあり、サラリーマン家庭ながら遺産として自宅、現金、車など少なくない財産を有していた。
遺産は総額で2300万円程度。これらをめぐって3人の兄弟たちで話し合いが始まった。当初は穏やかに行くかと思ったが、兄弟間の意見の相違が発覚する。