<前編のあらすじ>

共働き夫婦だった佳子さん(仮名・70歳)と夫の一文さん(仮名・75歳)。2人で年金450万円ほどを受け取りながら安定した生活を送っていましたが、一文さんが亡くなってしまいました。

佳子さんは自分が専業主婦ではなかったことから「夫婦共働きだと遺族年金は支給されない」と考えていましたが、ふと「現実問題、これからの生活はどうなるんだろう」と気になり始めました。

そこで亡くなった夫の年金の手続きで年金事務所へ行った際、「共働きだったら、やっぱり遺族年金はないですよね?」と窓口の職員に尋ねてみました。すると、職員から「少しですが、遺族年金出そうですよ」と回答され、想定外の事実に驚きます。

●前編:【「共働き夫婦は遺族年金をもらえない」は誤解? 70代女性が夫を亡くして知った「予想外の事実」】

65歳以降の遺族厚生年金

亡くなった厚生年金加入者だった人に生計を維持されていた配偶者には遺族厚生年金を受給する権利が発生します。一文さんを亡くした佳子さんもこれに該当します。

ただし、老齢年金と遺族年金、両方の受給権があると、両方そのまま受けられず調整されることになっています。65歳以降の場合、遺族厚生年金は老齢基礎年金や老齢厚生年金と併せて受給することができますが、遺族厚生年金については老齢厚生年金を差し引いた差額分で計算されます。老齢基礎年金と老齢厚生年金、差額支給の遺族厚生年金で受給します。

つまり、遺族自身に老齢厚生年金がないと差し引かれる老齢厚生年金がないため、全額遺族厚生年金を受給でき、これを老齢基礎年金と併給することになります。一方、遺族自身の老齢厚生年金が遺族厚生年金より高いと、差額支給分の遺族厚生年金はなく、老齢基礎年金と老齢厚生年金のみで受給することになります。