初めて会う義母に緊張
セレクトショップで店長を務めている茉莉は、夏のセールの合間を縫って、憲也と休みを合わせた日曜日の朝を緊張とともに迎えた。
寝室の鏡の前で入念に服装を確認する。この日のために購入したインディゴカラーのワンピースは、染め直したばかりの金髪ときれいなコントラストを作っている。ピアスは……派手ではないほうがいいだろう。ゴージャスな印象のあるフープピアスを手に取りかけて、シンプルなティアドロップに変更する。
「ほら、いつまでやってるの。早く行くよ」
開けた扉から憲也が顔を出す。いつもはラフな服装が多い憲也も、今日は白いTシャツの上に紺色のジャケットを羽織っている。
「でも今日はちゃんとしないと。お義母(かあ)さんと初めて会うんだし」
「そこまで気にする必要ないって。もっと気楽でいいよ」
「そう言われると余計緊張する。あー、心臓が口から出てきそう」
茉莉はそこで気を落ちつかせようと大きく息を吐き出した。
何でも最初の印象がとにかく大事だ。快く認めてもらうためにも粗相がないようにしないと。茉莉はそう言い聞かせて、憲也の運転で義実家へと向かった。