運用会社は高収入な半面「高ボラティリティ」

一般的に金融業界は高収入とされますが、運用会社もそうでしょうか。「大手銀行と同じくらいで、30代で1000万円プレーヤーも珍しくはない」(川島さん)ものの、誰もがそんな高収入が得られるわけでもないようです。

「評価によって報酬はかなり変わるので、同期でも額は相当違っているはず。ボーナスの振れ幅も大きいので、金融業界の中でもボラティリティ(変動の度合い)は大きいかもしれません」(村井さん)。

運用会社でも特に高収入を得ているのは、運用を指揮するファンドマネジャーのよう。「運用成績の良い人は、個室をもらったりもしていますね。もっとも、国内系の場合は外資系のヘッジファンドのように億単位の報酬は出せませんから、引き抜かれる人も時々います。一方で成績が長く振るわない人は辞めていきますし、厳しい世界ではあると思います」(山本さん)

運用会社の志望者には、ファンドマネジャーを希望する人が多いものの、パフォーマンスがはっきり数字で示されるだけに待遇の差も大きいようです。ただ、職種のバラエティはそれほど多くないので、「希望した職種に比較的つきやすいのではないか」(川島さん)という声もありました。

年齢に関わらず、実力で評価される世界

ベテランになってからの働き方はどうでしょうか。同じ金融業界でも、銀行などでは55歳など決められた年齢になると一律に管理職から外され、給与も下がるのが一般的です。しかし運用会社では、こうした役職定年の制度がないところも多いそう。「職種を問わず、年齢で一律に評価されるケースは少ないですね。年齢に関わらず実力に見合った評価をされる世界だと思います」(村井さん)。

「自動車メーカーで働く人は、愛車も必ず自社製品」といった話も聞きますが、運用会社で働く人は、自社商品に投資しているのでしょうか。「もちろん買っています」と胸を張るのは山本さん。それに対して川島さんは、「私は他社商品でも興味のあるものは積極的に買っていますね。それでも、ポートフォリオのメインとなる商品は自社商品です。中身をよくわかっているので安心感がありますから」と言います。

ただ、運用会社にいる人全員が、投資を好きなわけではないのも事実。「自社商品はおろか、投資を一切やらない人が社内にいて、びっくりした記憶があります。お金の使い方はその人の自由ではありますが、やっぱり投資が好きな人と働きたいという思いはありますね」(村井さん)。

金融業界に興味はあるものの、銀行や証券会社のような体育会的な雰囲気は少し苦手という人に、運用会社は向いているのかもしれません。実力勝負で厳しい面はある一方、平均的には高収入であるのも間違いなく、就職先、転職先としてはやはり魅力ですね。もちろん採用数は決して多くなく、狭き門ではあるものの、チャレンジしてみる価値はあるでしょう。

とはいえ、運用会社の業務がどのようなものか、理解している人はそれほど多くないはずです。次回以降は職種ごとに、もう少し具体的に仕事の内容をご紹介したいと思います。