退職金とiDeCoの同時受給は税金が増えやすい

退職金とiDeCoを同時に受け取るとき、それぞれ単体で受け取るときと比べると税額が大きくなりやすい。

まず、退職金の所得は額面から退職所得控除額を差し引いて求める。さらに残額を2分の1にした金額に対して課税される。

退職所得控除額の計算式は以下の通り。例えば勤続期間が30年なら退職所得控除額は1500万円となる。

【退職所得控除額の計算式】

勤続年数 退職所得控除額
 20年以下   40万円×勤続年数
 20年超  800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※iDeCoは勤続年数を加入期間に読み替える
※上記の計算で退職所得控除額が80万円に満たない場合、退職所得控除額は80万円

出所:国税庁 退職金を受け取ったとき(退職所得)

同じ年に退職金とiDeCoを受け取った場合、退職所得控除額は勤続年数(加入期間)が最も長いものを使って求める。ただし重複がない部分は加算できる(出所:国税庁 同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき

具体的に以下の条件で退職所得控除額を求める。

・退職金の勤続年数:43年(23歳~65歳)
・iDeCoの加入期間:20年(41歳~60歳)

退職金の勤続年数は43年、iDeCoの加入期間は20年だ。それぞれ単体で退職所得控除額を計算すると前者は2410万円、後者は800万円となる。

しかし同じ年に受け取る場合、期間が長い退職金(43年)のみを使い退職所得控除額を求める。それぞれの退職所得控除額を合計したり、両者の期間を合計した63年を使って退職所得控除額を求めたりすることはできない。

それぞれ単体で受け取るケースと比較し、同一年の受け取りだと退職所得控除額が減少する。したがって税負担も増えやすい。退職金とiDeCoの同時受給は注意が必要だ。