年金での受け取りも視野に入れたい
退職金が64歳までに支払われる企業の場合、iDeCoの一時金を最短(60歳)で受給しても退職所得控除額は重複部分が減額される。
退職所得控除額を満額で適用できない場合、iDeCoを年金で受け取る選択肢も検討したい。
iDeCoの給付は一時金だけではない。全額または一部を年金形式で受け取ることもできる(出典:iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等)。
年金形式で受け取るiDeCoの給付金は、退職所得ではなく、公的年金等の雑所得として扱われる。退職金を一時金、iDeCoを年金で受け取れば所得区分が異なることから、重複期間に伴う退職所得控除額の減額は起こらない。
また公的年金等の雑所得は、収入から一定額を差し引く公的年金等控除額が適用される。その他の雑所得より税負担が小さくなる可能性がある。退職所得控除額の減額が想定される人は年金形式も検討してほしい。
ただし公的年金等の雑所得には、公的年金(厚生年金、基礎年金)の受給額も含まれる。また退職金を一時金ではなく年金形式で受け取る場合も公的年金等の雑所得に該当する。これらを合算した収入が公的年金等控除額を上回る場合、税金が発生する点には留意したい。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)