退職金の支給が迫ると懸念されるのが税金だ。一括で受け取ったとき、重い税負担を心配しているかもしれない。

退職金は税金が過度に重くならないよう「2分の1課税」が適用される。税額計算の基礎となる所得を半分に減じる処置だ。

ただし2分の1課税には例外がある。一部の人は適用がなく税負担が重くなりやすい。

退職金の税金はどのように算出されるのだろうか。また2分の1課税の例外はどのようなケースで発生するのだろうか。それぞれ解説する。

退職金は所得税と住民税がかかる

退職金の税金について、まずは概要を押さえたい。

退職金には所得税と住民税が課税される。所得税は国に納めるもの、住民税は居住する自治体に納めるものだ。いずれも受給時に源泉徴収される。「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合、原則として確定申告も不要だ(出所:国税庁 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)

退職金にかかる税金は、その他の所得とは切り離して計算される(分離課税)。給与や不動産収入などから生じた所得は、退職金の税額に影響を与えない。したがってその他の収入を考慮する必要はなく、税額の計算は退職金のみで完結する。

退職金の税金は以下の手順で計算する。次章からそれぞれ解説したい。

手順1.退職所得を算出
手順2.退職所得に税率をかけて税額を算出