退職金は一度に大金を手にできるチャンスだ。長い労働の対価であることを鑑み税負担も抑えられている。退職金が生涯で最大の収入となるサラリーマンも少なくない。
定年が迫れば支給額が気になるところだろう。他人と比べたい人もいるかもしれない。
退職金の相場はどれくらいなのだろうか。公的な統計から探ってみたい。
中小企業の退職金の相場
企業のほとんどは中小企業だ。全国に178万社ある会社企業(※)の99%は従業員299人以下の企業が占める。全国の従業員者数は4324万人で、その53%は同じく従業員299人以下の中小企業に雇用されている(2021年6月。出所:総務省統計局 令和3年経済センサス‐活動調査)。
※会社企業:経営組織が株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社及び合同会社で、本所と支所を含めた全体
中小企業における退職金の相場は「中小企業の賃金・退職金事情」が参考になるだろう。東京都が公表する統計で、都内にある従業員10人~299人の中小企業の退職金を隔年で調査している。
1012社を集計した令和4年版では、定年退職金の相場は大学卒で1092万円となった。従業員規模に比例して高額になる傾向が読み取れる。
【従業員数別、中小企業のモデル退職金(東京都、定年、大学卒)】
・10~49人:979万円
・50~99人:1142万円
・100~299人:1323万円
・(参考)全体:1092万円
※調査時点:2022年7月末(集計企業数:1012社)
※モデル退職金:学校を卒業してすぐ入社し普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準
業種別では金融業、保険業が最大となった。定年退職金の相場は大学卒で1442万円と全体(1092万円)を350万円上回る。
【業種別、中小企業のモデル退職金(東京都、定年、大学卒)】