激変した妻の暮らしぶり
妻の暮らしぶりが変わったのは、それからでした。ちょうど下の子どもが大学に入学したタイミングでもあり、「これまでの人生を取り戻す」と宣言して、やれ外食だ、やれ観劇だ、やれ旅行だと毎日のように外出するようになったのです。
都心の美容院やエステに通うようになって小ぎれいになり、身に着ける服やバッグも一目で高級品と分かるようなものに変わりました。茶道の教室通いを始めたり、茶道具や着物を購入したりもしているようでした。
料理が得意な妻は、かつては生協の食材を取り寄せ、「家族が健康でいるには毎日の食事が大切だから」と手の込んだ料理を食卓に並べてくれたものでした。しかし、それらはいつの間にかデパ地下の惣菜に取って代わりました。子どもたちは歓迎しているようでしたが……。
付き合う仲間も変化していて、妻の口からスタイリストの何々さんだとか、料理ライターの誰々さんといった名前を聞くことが増えました。いわゆる“特権階級”のグループらしく、コロナ禍で都道府県をまたぐ移動の自粛を求められていた時期にも、こっそり高級旅館や高級料理店などに出かけているようでした。
私も子どもたちも普通の主婦だった妻のあまりの変わりように違和感を禁じ得ませんでしたが、それでも、妻がこれまでの人生を取り戻し、充実した日々を送っているのならよしとしなければと考えるようにしていました。
相続から10年。妻から驚きの告白
そんな妻から驚きの告白をされたのは、1年前のことでした。銀行のカードローンの借り入れが300万円、さらに妻名義のクレジットカードのリボルビング払いの残高が200万円を超え、二進も三進もいかなくなってしまったと言うのです。
「伯母さんから相続したお金はどうした?」と尋ねると、「去年までで使い果たしてしまったけれど、だからといって元の生活に戻ることはできなかった」と泣き出す始末。あまりのショックに、思わず言葉を失いました。
●大金を10年で使い果たした妻。夫がかけた言葉は……。後編【妻の「衝撃の告白」を機に一家離散…「全ては後の祭り」4LDKに1人で暮らす夫の悲痛】で詳説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。