「こんなに古い考えの一族は珍しいと思います。息抜きができる環境だといいのですが、私1人に負担が集まるのでなかなか難しいです。正直、義両親のダブル介護のときは、2人とも早く死んでほしいと思いました。まず夫が無関心。私がこれだけやってもまるでひとごと。これが一番の問題です。手伝ってとか手を貸してとか言われれば快く応じますが、全部やれ! は無理です。しかも義祖母以外の義家族から、一度だって感謝されたことがありません。感謝の言葉は大事です」

義父が亡くなってから義母はわがまま放題。夫は七瀬さんの味方になるどころか“モラハラ夫”化が進んでいる。

たまに七瀬さんが外出することが気に入らない義母は、「今日薬を取りに行く日なのに連れて行ってくれない」とうその告げ口。真に受けた夫が帰宅した七瀬さんに怒鳴るため、「介護は実子の役割でしょ!」「じゃあ俺の仕事してこい!」と口論になる。

七瀬さんは義父の死後、パートだが看護師の仕事を再開し、「看護師としてもう一度、バリバリ仕事をすることが夢です。取りたい資格もあります」と話す。

筆者はこれまで100人近くの介護者を取材してきたが、七瀬さんの介護能力は高いと感じる。その能力が正当に評価され、管理職にまで上り詰めたのだろう。それなのに義家族たちは誰ひとりとしてねぎらいも感謝もない。

七瀬さんの堪忍袋の緒が切れるのはいつになるか。義家族たちの慌てふためく様子が見てみたい気がする。