会社の買収でまさかの収入ダウン
しかし、コロナ禍で勤務先の業績が大きく悪化して“身売り”をするに至り、大きく状況が変わりました。新しい社長はIT企業の創業者で、「フラットな組織作り」をモットーに人事制度や給与体系などが一から見直されました。
この見直しで割を食ったのが私たちベテラン世代です。成果型賃金制度とやらで給与がカットされた上、若手登用のスローガンの下で抜擢された年下の部下に思い切り振り回されているありさまです。
給与を元に算出されるボーナスも当然大きく減り、年収ベースで50万円を超える減収になりました。今年は3%の賃上げが実施されましたが、そんなものは“焼け石に水”です。
新聞記事に「子育てを終えた50代は老後資金を貯めるチャンス」と大書されていましたが、今の収入ではとてもそんな余裕はありません。
住宅ローンの返済も負担増が予想され……
さらに間の悪いことに、わが家は自宅を購入した際に10年固定金利の住宅ローンを利用していて、来年早々、固定金利期間が終了します。その後は再度固定金利を設定するか、変動金利に移行するかを選択することになりますが、このまま金利が上がっていったら月々の返済負担が大きく増えてしまうこと必至です。
ローンを組んだ42歳の頃に思い描いた50代の自分の経済状況は、もっとゆとりがあるはずでした。ドラッグストアのパートで働く妻とは、子供たちが独立したら、私の両親のように2人でゆっくり温泉巡りでもしたいねと話していました。
しかし、現実はそのように甘いものではなく、今の状態が続けば退職金頼みで老後に突入することになりそうです。その退職金だって、どうなることか分かったものではありません。
住宅ローンはまだ1500万円以上残っており、60歳以降も返済していく必要があります。定年までは今の会社にしがみついているつもりですが、退職後はなんとか仕事を探し、老骨に鞭打って地道に収入を得ていくしかなさそうです。