③年代に合わせて「安全資産の割合」を検討する
ここまで、投資信託なら信託報酬が安いもの、株式なら安定した企業を選ぶという判断基準をご紹介しました。これらに加えて、最後にもう1つだけ「投資先を決める時の考え方」のポイントをお伝えします。それは、リスク資産・安全資産の比率です。
株式投資であれば、1社買うよりも10社、10社買うよりも100社買う方がリスクを下げられます。さらに、例えば「日経平均株価(日経225)」という指数に連動する株式投資信託を買えば、それだけで225社分に資産を分散したことになります。
では、このような株式投資信託を買えば、投資先として安全と言えるのか。実は、そうではありません。
いくら分散が効いた株式投資信託でも、「株式に投資している」という事実は変わりません。結局、株式に投資する以上、世界的に株価が下がる局面では、資産全体の下落を免れることはできないのです。
これは、人気の「全世界(オールカントリー)型株式投資信託」など幅広い株式に投資する商品であっても同様で、まとめて「リスク資産」に分類されます。
正直なところ、若いうちならリスク資産の比率が多くても問題はありません。例えば現在30代であれば、定年まで働くと仮定すると、あと30年ほどキャッシュフロー(お金の出入り)がプラスになります。そのため資産が下落しても、収入から補てんすることが可能です。
一方、現在60代であれば、多くの場合はキャッシュフローが大きく減ります。そんな中で大暴落が起こると……大幅に下落したリスク資産を回復させることは、非常に難しくなります。だから、年代が上がるにつれ、国債などの安全資産を含む投資信託や現金の比率を徐々に上げることが理想です。
投資の正解は、収入や考え方だけでなく年代でも変わります。投資に力を入れてきた人ほど、難しいかもしれませんが、「年代が上がるにつれ、安全資産の比率を高める」という点も意識していきましょう。