八重子さんの言い分

道中、母のお金のことを問いただすと、八重子さんは母から約800万円を受け取ったことを認めつつ、こう言ったのです。

「でも、あれは叔母ちゃんが『八重ちゃん、持っていき』とくれたものだから」

母が八重子さんにあげたもの? 一体どういう理由で? しかし、それにしても金額が大き過ぎます。

「どういう事情で母が八重子さんにお金を贈与することになったのか、詳しく話していただけますか」とさらに問い詰めると「それは言いたくない」と口を閉ざす始末でした。

結局その日、八重子さんからそれ以上の情報を聞き出すことはできませんでした。見舞いの際に母に「八重子さんにあげたの? 貸したの?」と尋ねても、その都度答えが異なり、言っていることも要領を得ません。

高齢者の事情に詳しいFPへ相談

しかし、800万円は大金ですから、放っておくわけにはいきません。このままではらちが明かないと、仕事関係で知り合った民事の弁護士さんに相談することも考えました。

妻にも経緯を話したら、「親戚だし、大ごとにしない方がいいんじゃないの」とたしなめられ、そういう問題に詳しい優秀な専門家を知っているからと紹介してくれたのが、ファイナンシャルプランナー(FP)の南さんでした。

南さんは終活や相続の相談を専門とするFPで、ソーシャルワーカーの妻とは勉強会で知り合ったそうです。

「南さんは本当に仕事熱心な人。困ったお年寄りに親身になって面倒を見ていたから、お義母さんのこともきっと何かしら解決の道筋を示してくれると思う」という妻の言葉に背中を押され、早速、南さんに直電したのです。

●南さんと共に八重子さんを問い詰めると“800万円の行方”が判明……。続きは、後編【母から800万円奪った従姉妹…ひそかに練っていた“仰天の構想”】で解説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。