わずか3年間で半減した母の貯金
さらに頭を抱えたのがお金のことです。入院費用などを払うために母の預金通帳を探し出したのですが、最初のページでは2000万円近かった残高が、この3年間でほぼ半減していたのです。
母には父の遺族年金など月額で15万円の年金が振り込まれていますから、どう見ても不自然極まりない減り方をしていました。
不幸中の幸いか母の脳出血は軽度で、内服薬による治療が行われることになりました。容体が落ち着いてきたのを見計らって母に引き出したお金の使途を尋ねたところ、「八重ちゃんに渡した」と言います。
八重ちゃんとは、母の亡くなった長兄の娘で私の従姉妹に当たる八重子さんのこと。私よりひと回りほど年上です。隣町の母の実家に住んでいますが、母は昔から長兄とは不仲で実家と疎遠になっていたので、少々意外でした。
とにかく、「すぐに八重子さんに確認しなければ」と思いました。母が倒れた時に救急搬送や入院の手配をしてくれたのも八重子さんだったので、翌日、お礼も兼ねて菓子折りを持って母の実家を訪問しました。
私の様子から、八重子さんも察するところがあったのでしょう。同居する八重子さんの義姉の目を気にしたのか、「昇ちゃん、これから役場に行かないといかんから、車で送っていってくれない?」と持ち掛けてきました。