「高い時に少なく買い、安い時に多く買う」ドルコスト平均法

前回は確定拠出年金の受け取り方法などを紹介いたしました。今回は確定拠出年金や退職金としてある資産をどう受け取っていくかを考えてみたいと思います。

資産形成の場面では、多くの方は積み立て、つまりドルコスト平均法(定額購入法)を使われています。

ドルコスト平均法とは、価格が変動する商品に対して「一定金額で定期的」に購入する方法です。投資金額を一定にすることで、価格が高い時には購入量(口数)が少なく、価格が低い時には購入量(口数)が多くなり、平均購入単価を抑えることが期待できる手法です。

“確定拠出年金”や”つみたてNISA”はまさにこの形ですね。設定を変えない限り、毎月のお給料や掛け金などから、決めた商品を毎月購入していっています。

余談ですが実は他に、価格が高い時でも低い時でも定量、同じ口数を購入する方法(定量購入法)もあるのですが、投資の大事なポイントとして、安く買うことが大事なのに、安い時にも同じだけしか購入しないので、投資としてはあまりいい方法とは言えません。ただ、保険商品では為替リスクのある商品でこの方法が使われています。 

定量購入法では、ドル建ての生命保険が代表的です。保険契約として、保険料は毎月〇〇ドル、保険金は〇〇万ドル、ドルベースでは毎月払う金額は同じです。そして万が一の事が起こった場合は、〇〇万ドルの保険金が支払われます。

払うドルは一緒ですが、為替の変動がありますので、100ドルの保険料だったとして、1ドル80円であれば、8,000円の保険料ですし、1ドル120円であれば12,000が保険料になります。積み立てるドルの金額は100ドルと定量で変わりませんが、為替が変動することで払う円が変動しています。

保険の場合は、約束した保険金を返さなければいけないので、「毎月1万円が保険料です。円高ですので先月は120ドル、今月は円安ですので80ドルしか買えませんでした」では、確実に保険金を支払えるどうかわかりません。ですので、保険のように決められたお金を返す、と言った場合は、定量購入法が向いていると言えそうです。

積み立てた資産を取り崩す時はどうすればいい?

それでは、資産の取り崩しの時はどうすればいいのでしょうか。

ただ実はこれ、一定額の資産をお持ちの方で、なおかつ”運用もされている方”は気にされる必要はないと言えます。

少し簡単に計算してみましょう。仮に2億円の資産があったとします。この2億円は運用もせず寝かせたままの状態だったのですが、お金が必要になりましたので、毎月40万円を引き出し続けたとします。20,000万円÷480万円=41年となり、資産がなくなってしまいます……。

確かに、「40年も持てば充分」という考えもあるかと思います。しかし、もし運用しながら引き出していく場合だと、どうなるとかと考えれば、また違う見方ができます。

計算が難しいので、資産が何年持つかは判らないのですが、大丈夫かどうかを直ぐに判断する方法があります。

例えば、資産を3%で運用しながら引き出す場合、年間の予想収益は20,000×3%となりますので、約600万円となります。一方で毎月40万円を引き出した場合、年間の引き出し額は480万円。3%で運用すれば、運用で得られる収益の方が大きくなります。あくまで机上の計算上ではありますが、資産が減らないどころか増えていきますので、心配する必要はないのです。

もしそれでも不安な場合は、少し節制をする方が現実的と言えるでしょう。