貯金は「経済的な体力勝負」の明暗を分ける

最近は非正規社員が増え、また働き方が変わり、手当が出ないことによる収入減などがクローズアップされます。生活費不足となることもあり、それをどこから補うかが問題となります。

これまでの貯金を取り崩していくのか、副業などで収入アップを狙うのか。または一時的に借金をするなど他からお金を用立てるかの選択に迫られるわけです。

貯金がないことにより、あわてたり、妥協したり、自分自身をあきらめたり、だまされやすくなります。ふだんなら決して手を出さないカードローンなどで生活費を借り、返済に追われて、転落人生を歩む人もいるのです。

結局、収入がとだえたとき、乗り越えられるかどうかの違いは(メンタル面の強さなどもありますが)、貯金があるかないかに左右されます。

職業柄、私はお客さまからリアルな感想を聞くことができます。「あのとき貯金がなかったら、乗り越えられなかった」という人もたくさんいます。

一方、貯めていなかった人は「一気に深みに転落した」と嘆きます。そして「あのとき貯金があったら、これほど借金がふくらんでいなかった」とも。

つまずいたときは、経済的な体力勝負となるのが現代の宿命です。

いくら貯めれば安心?

では、どの程度貯めておけば安心なのでしょうか? 私は、月収7.5カ月分と考えています。

まず、生活費の安定を図るため、特別な支出があっても貯めたお金を引き出さなくてもよいように、生活費の1.5カ月分を生活費専用の「使う貯金」として確保します。もし、特別なことがあってプラスアルファ部分の0.5カ月分を使ったら、やりくりして元に戻します。

そして収入減や病気やケガで働けないときの生活防衛資金として、少なくとも6カ月分。できれば12カ月分、備えておきたいものです。

その他、2〜3年以内に使う教育費や住宅の頭金などがあれば、それも含めて使わずにとっておく「貯める貯金」とします。これらができてから「増やす」ことを考えましょう。

●第4回(お金を貯めたいなら「収入を増やす」 vs 「支出を減らす」—うまくいくのはどちら?)では、お金を貯めるための3大ルールとそれが成立するワケについて解説します。

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