サラリーマンの「副業」として注目されるワンルームマンション投資。「会社を辞めなくても賃貸経営ができる」と人気ですが、そこには大きな落とし穴もあるといいます。不動産にまつわる数々の相談に乗ってきた不動産鑑定士の福田伸二さんが、ワンルームマンション投資で見落としがちな「あるリスク」について解説します。
多くの人が知らないサブリース契約の仕組み
前編(ワンルームマンション投資で「老後も安心」が一転…有名企業勤めの会社員を襲った危機)では、若いサラリーマンが、投資用のワンルームマンションを売却する時に「サブリース契約」がネックとなり、結果的に損をしてしまった事例をご紹介しました。そもそもサブリース契約というのはどういった契約なのでしょうか。そこからご説明していきたいと思います。
サブリース契約とは、「物件オーナーがサブリース業者にその物件を貸し出す」という契約です。ですから、単純に業者が貸借人として、オーナーと入居者との間に入ります。簡単にいうと図のような形です。
サブリース契約の構造(簡略図)
出所:ファイナンシャルスタンダード
このサブリース業者というのは、多くの場合、オーナーに物件を売った不動産会社か、その関連会社・子会社です。この先、入居者が抜けても毎月決まった賃料がきっちり入ってくる、非常におトクな契約に見えます。
ところが、サブリース契約を付けると、物件オーナーは業者にすべてを委ねることになってしまいます。オーナーは、後は決まった賃料をただ受け取るだけです。また、賃料もサブリース業者が決めることになります。オーナーのほうから「この賃料でサブリースしてほしい」と言えるケースは、ほとんどありません。