投資用、居住用を問わず不動産に関するトラブルは後を絶ちません。この連載では、不動産にまつわる数々の相談に乗ってきた不動産鑑定士の福田伸二さんが、皆さんの「不動産リテラシー向上」に役立つ情報を事例と共にお届けしていきます。今回も、前回に続きワンルームマンション投資にまつわる“落とし穴”を解説してもらいます。

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年収500万で物件2戸買い!? 驚きの実情

前回(外資系エリートもパワーカップルも陥る…「ワンルームマンション投資」の落とし穴)では、ワンルームマンション投資の注意点をお話しさせていただきました。

そもそも、なぜ皆さんがワンルームマンション投資に気軽に手を出してしまうかというと、1つには頭金が少なくてもフルローンが組めるからです。そのため、当社にご相談に来るワンルームマンション投資でお悩みのお客さまは、20代、30代の若年層もたくさんいらっしゃいます。「若いのに?」と思われたかもしれませんが、むしろ手元の資金が少ない若い方々ほど、頭金をさほど入れなくてもチャレンジできるワンルームマンション投資に大きな魅力を感じることが多いようです。

不安の多い時代ですから、特に真面目な方ほど、「何か投資をしなければ」とワンルームマンション投資を選択されますが、今回も典型的な例を、仮にAさんとしてご紹介しましょう。

<ご相談事例>
Aさん
年齢:29歳・独身(購入時)
勤務先:インフラ関連企業
年収:約500万円
所有物件:都内のワンルームマンション、同じフロアの2室(物件価格2000万円台×2)を購入

「20代でマンションを2部屋も所有!?」と驚いた方も多いのではないでしょうか。しかもAさんの勤め先はインフラ系で多くの人が知っている有名企業とはいえ、年収は500万円台です。決して年収1000万プレイヤーや、高収入のパワーカップルというわけではありません。こういった方でも、公務員であったり、お勤め先がガス・電気会社といった倒産リスクの低い業種であったりした場合は、年収400~500万でも銀行のローン審査に通ります。そこで、若いうちからフルローンを組んでワンルームマンション投資にチャレンジする例が多いようです。