三井不動産が東京ドームの救世主に

三井不動産は2023年1月、「東京ドームシティ」のリニューアルを発表しました。2024年夏まで続く大規模なリニューアルで、八重洲に続く再開発エリアとして注目されそうです。

東京ドームは2021年1月に三井不動産によって買収されました。これには、東京ドームが同社の大株主だった香港系ヘッジファンド「オアシス・マネジメント」と対立するようになったことが背景にあります。

2019年12月、オアシスは東京ドームが都心に約14万平方メートルもの敷地を持ちながらその資産を生かせていないとして、経営改善を訴えるコメントを発表します。2020年1月には敵対的買収をほのめかす書簡を送付したほか、同年2月には、「より良い東京ドームへ」と題した86ページにわたる提言を公表しました。さらに同年10月には経営陣の解任を求めて臨時株主総会の招集を請求するなど、次第に態度を硬化させていきます。

こうした流れの中、三井不動産は東京ドームに買収を持ちかけました。三井不動産は、街づくりで培ったノウハウが東京ドームの経営に生かせると考えたのです。オアシスからプレッシャーを受けていた東京ドームにとって、三井不動産は救世主に見えたことでしょう。このように、敵対的な買収を仕掛けられた企業が見つける別の友好的な買収者を「ホワイトナイト(白馬の騎士)」といいます。

そして2020年11月、三井不動産は東京ドームへTOB(公開買い付け)を実施します。オアシスもこれに賛同したことから、同TOBは2021年1月に成立しました。以降、東京ドームは三井不動産グループとして再出発することとなりました。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)