教育資金と老後資金のバランスを取ることが重要
「教育資金は住宅資金、老後資金と並んで『人生の三大資金』に数えられるくらい家計にとって大きな支出です。大学まで国公立なら1000万円、オール私立なら2000万円以上などといわれていますが、あくまでも目安にすぎません。最近は学校や塾、習い事、教育ツールなど選択肢が増えていて、子供にお金をかけたければ、いくらでもかけられるんです。でも、子供にお金をかけた分、親は自分の老後資金が削られることを覚悟しないといけません」
道畑さんのお話はとても分かりやすく、それだけに胸に響きました。さらに、親の家に住んで住宅資金は抑えられているのだから、高齢になってひとりっ子の悠真の負担を増やさないように教育資金と老後資金のバランスを取ることが重要になること、目先は悠真の教育費の負担が増えていくので妻も可能な範囲で働いて家計収入を増やしておいた方がいいこと、今はかつてのように学資保険が有利でなくなっているため預貯金と投資信託などの投資商品を組み合わせた“自分ファンド”で教育資金と老後資金を一体的に準備していくといいことなどアドバイスをもらい、夫婦で感動してしまいました。
中でも心に刺さったのがNISA(少額投資非課税制度)です。岸田政権のNISA恒久化の話題はテレビのニュースなどで目にしましたが、「わが家には関係ないこと」と思い込んでいました。それが、「来年からは年間360万円、最大1800万円まで非課税で投資でき、使いたいタイミングで現金化することができるようになります。しかも、現金化した分はまた“枠”が復活するんですよ」と聞かされ、「これは使わないと損だよね」と思わず妻と顔を見合わせました。
しかし、その日最大の収穫はやはり悠真の進学先の件でした。「悠真君を呼んでいただけますか?」と言った後、道畑さんが机の上に広げたのは、あふれんばかりのボーディングスクールの資料。大きなカバンの中には、これが入っていたのです。