——2022年10月-12月のDCファンドの状況について教えてください。

ここではDCファンドの資金流出入動向について確認します。図3のとおり10月の資金流出入額は約620億円の流入超、11月は約500億円の流入超、12月は約900億円の流入超となりました。おおむね安定的に資金流入傾向が継続しています。

12月の流入額は11月から約400億円も増加したことになります。相場が軟調に推移したことから、逆張り思考を持つ一部の加入者が資金を投資信託に振り向けたものと考えられます。資金流入額は、多い順に、外国株式型(319億円)、複合資産型(308億円)、国内株式型(167億円)となりました。国内株式型は11月に流出しましたが、12月は流入に転じました。これにより、すべてのアセットクラスが資金流入超となりました。

図3  ファンド分類別 月間流出入額推移(DC専用ファンド) 拡大図表示

※ 公社債投信等を除くDC専用ファンド 出所:三菱アセット・ブレインズ

次に直近6ヵ月の資金流出入額の累積は、外国株式型が1,532億円、複合資産型が1,570億円と人気を二分しています(図4)。外国株式型は若年層から、複合資産型はシニア層から、人気を集めているようです。リスク許容度の高い若年層は積極的に外国株式型で運用する一方、リスク許容度の低いシニア層では安定的なリターンが見込める複合資産型で運用する人が多いようです。

図4 ファンド分類別 直近6ヵ月資金流出入額累積(DC専用ファンド)拡大図表示

※ 公社債投信等を除くDC専用ファンド 出所:三菱アセット・ブレインズ

では、続いて、個別ファンドではどのようなファンドに資金が流入しているのか確認しましょう。今回は外国株式型と複合資産型の2つのアセットクラスについてみてみます。

まず、外国株式型の月間資金流入額上位15ファンドについて確認します(図5)。ランキング表のとおり、上位15本のうち13本がMSCIコクサイ指数などの世界株価指数に連動するパッシブファンド、インデックスファンドとなりました。世界の株式市場に投資をするという商品性の分かり易さのほか、運用管理費用が相対的に安いことが要因と言えるでしょう。一方、相対的にコストが高いアクティブファンドからは、「野村世界好配当株投信(確定拠出年金)」が7位にランクインしました。こちらのファンドは2005年5月に設定された、長期の運用実績を有するファンドです。北米、欧州、アジア・オセアニアの3つの地域の株式に分散投資を行い、配当利回りを重視した運用を行っています。昨今の投資環境も反映して、配当やバリューといった運用スタイルのファンドにも一定の資金が流入しているようです。上位15ファンドでは唯一、直近6ヵ月のリターンがプラスとなっている点にも注目です。

図5 2022年12月 外国株式型(DC専用ファンド) 拡大図表示

※ 公社債投信等を除くDC専用ファンド 出所:三菱アセット・ブレインズ

次に、複合資産型の月間資金流入額上位15ファンドについて確認します(図6)。ランキング表のとおり、上位15本のうち12本がパッシブファンド、インデックスファンドとなりました。外国株式型と同様に、複合資産型ファンドでもパッシブファンドの割合が多くなりました。アクティブファンドでは、「野村DC運用戦略ファンド」が2位にランクインしました。当ファンドは国内外の株式・債券・REITで運用する9本のマザーファンドに分散投資するバランスファンドです。各マザーファンドでは各アセットクラスのベンチマークに概ね連動させるパッシブ運用を行いますが、各アセットクラスの投資割合は市場環境に応じて機動的に変更されます。各アセットクラスへの資産配分を固定するのではなく、運用のプロに適宜調節してもらいたいという加入者にとっては魅力的な商品と言えるでしょう。

図6 2022年12月 複合資産型(DC専用ファンド) 拡大図表示

※ 公社債投信等を除くDC専用ファンド 出所:三菱アセット・ブレインズ