DCガバナンスの視点から受託者責任を果たす目的で、投資信託のモニタリングや入れ替えを検討・実施する企業も少しずつ増えています。そこで、投資信託のモニタリングに役立つDC商品マーケットの最新状況を、投資信託評価会社である三菱アセットブレインズの標氏に解説していただきます。
※この記事は、2023年1月26日(木)に実施したWEBセミナー「 最新DC 投信マーケット解説 2023年1月号」を記事化したものです。
——早速2022年10月-12月のDCマーケット状況について伺いたいと思います。まずはアセットクラスごとのパフォーマンスをお聞かせください。
下記、図1は過去2年間のファンド分類別の累積パフォーマンスを示したものです。2021年は外国REITや外国株式が好調で大きく上昇しましたが、2022年は金利が上昇基調で推移したことから、軟調なパフォーマンスとなりました。また、外国債券や国内債券などの債券カテゴリーでも金利上昇により債券価格が下落し、苦戦が目立っています。
2022年10月-12月の推移をみると、10月は米欧の中央銀行である、米国のFRB、欧州のECBによる政策金利引き上げのペースが減速するのでは、との期待を受け反発しましたが、12月には再び利上げに対して積極的な方針が示され、景気悪化懸念から外国株式などが下落しました。日本では、12月20日に日銀が長期金利の許容変動幅を±0.25%から±0.50%へ拡大すると、市場では実質的な利上げと受け止められ、長期金利や円相場が上昇し、国内株式のカテゴリーなどが下落しました。
図1 分類別累積パフォーマンス 拡大画像表示
次に分類別に直近3ヵ月間のパフォーマンスランキングを確認します(図2)。まず、2022年10月にパフォーマンスが良かったのは、外国株式と外国REITのカテゴリーです。外国株式、外国REITともに、+8.4%となりました。前月の9月に大幅下落していたことや、前述のとおり利上げペースの減速期待が高まったことから、上昇しました。
11月は、エマージング株式のカテゴリーが+4.7%上昇しました。中国のゼロコロナ政策修正に伴う経済活動再開への期待から、中国株式ファンドなどが上昇したことが影響しました。
12月は、再び景気悪化懸念が強まり、株価が下落・金利が上昇した影響により、全てのアセットクラスのリターンがマイナスとなりました。
図2 分類別パフォーマンス 拡大図表示