NISAにはない「掛金の所得控除」、保育料を抑える効果も

もう一つのiDeCoならではの魅力は「掛金の全額が所得控除される」点です。 老後資金を貯めるために積立している間、所得税と住民税が軽減されます。これは課税の繰り延べであって受け取る時に課税されますが、積み立てしている間は老後資金が貯まる上に税負担が減るというダブルメリットを得られます。

どれくらい税負担が軽減されるかというと、例えば課税所得350万円の方が 毎月1万2千円を iDeCoに積み立てをしたとすると、年間14万4千円が課税所得から控除されることによって、所得税と住民税合わせて年間で約 4万3,200円の税負担が軽減されます。年末調整で戻ってくるお金が5万円近く増えると想像していただければそのメリットの大きさを実感していただけると思います。給与所得者として65歳まで働き続けたとすると65歳まで積み立てを継続することができますから、現在40歳の方であればこれから最大25年間もこのメリットを享受することができます。その額、累計で108万円にもなります。そして、年収が上がり所得税率がもっと高くなれば負担軽減額はさらに大きくなることになります。

さらに、小さいお子様がいらっしゃる世帯であれば保育料などもメリットを享受頂けるかもしれません。保育料を算定する世帯所得はご両親の所得の合算ですが、医療費控除などと同様にiDeCoの掛金は全額をその対象所得から差し引くことができます。ですから、iDeCoの積立することで保育料が下がったり、保育園入園の優先順位が高くなったりすることにつながります。

これらの掛け金控除のメリットは新しいNISAにはありません。老後資産形成という特別な目的の制度だからこそ、ついている恩典です。iDeCoは毎月の積み立て上限額が決して大きくはありませんし、急に大きな資金を積み増すこともできません。毎月コツコツ、長い期間をかけて積み立て運用していただくことが、メリットを享受頂く上でも、大きな老後資産を準備する上でも大切です。まだご利用されていない方はそのチャンスを毎月捨てていることになりますから、早めにスタートをされることをおススメします。そして、商品や契約先を比較検討する際には、「iDeCoナビ」を活用いただけますと幸いです。