埼玉県在住の内藤隆史さん(仮名、51歳)は妻、大学生の長男、高校生の次男の4人家族。内藤さんは実母の死と父親の再婚をきっかけに実家とは疎遠になっていました。数年前、父親がアルツハイマー型認知症を患い介護施設に入居。その際に、内藤さんは継母に対しある話をしました。
軽い注意喚起のつもりで口にしたその言葉を、内藤さんは父親の死後になって深く後悔することに。通夜と告別式を終えた後、会食の席で継母がいきなり信じられないことを切り出したのです……。
●「深く後悔…」内藤さんが継母にした話とは?
前編:「認知症の父」の財産を継母が横取り!? 息子が引き下がった“深い理由”
継母による準備万端の“承継プラン”
認知症で亡くなった父の通夜や葬儀を終え、私の家族と精進落としの料理を囲んだ席で継母が言い放った一言は強烈でした。
「お父さんの財産はほとんどないから、当てにしないで」
あぜんとした私の隣で妻がやんわりと「まだ葬儀が終わったばかりですし」と返しましたが、その場を取り巻く緊迫した空気が変わるものではありません。「役所の手続きもあるから、来週また家に行くよ。詳しい話はその時にしない?」と何とかその場を収めました。子供たちにまで、きな臭い話を聞かせたくなかったからです。
翌週、実家を訪れた私を待っていたのは、更新したばかりと思われる父名義の預金通帳2冊。中身を見ると、両方を足しても葬儀代程度の残高しかありません。「お父さんの預金はこれだけ。後は私名義の預金だけれど、それは私が自分の年金をためておいたものだから、関係ないわよね?」。継母は一方的に言い立てました。さらに、同じ町内に住む継母の妹から紹介されたという司法書士の名刺を出してきて、「この人に手続きを頼もうと思うのよ。妹の同級生なんだけど、うちの母が亡くなった時もとてもよくしてくれたというから」と続けたのです。
準備万端とはまさにこういうことだな、と思いました。継母は父が不在の間、父亡き後の承継プランを着々と立てていたのでしょう。