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「個人向け国債」の金利が上昇し始めました。最も年限が長い「変動10年」でも金利は長らく最低の0.05%という状況が続いていましたが、9月分以降は0.1%を超えています。変動10年の個人向け国債金利が0.1%を超えるのは、2016年8月分(0.17%)以来6年ぶりです。
【変動10年個人向け国債の金利】
個人向け国債は国が元本を保証する安全性の高い商品です。条件の改善を受け、購入を検討している人もいるのではないでしょうか。
しかし8年前の12月1日、日本国債の信頼が揺らぐ出来事が起こります。大手格付け会社の「ムーディーズ・インベスターズ・サービス」(以下ムーディーズ)が、日本国債の格下げを発表したのです。同じく大手の「S&Pグローバル・レーティング」(同S&P)と「フィッチ・レーティングス」(同フィッチ)も、翌年に相次いで日本国債の格下げを発表しました。
なぜ日本国債の格付けは引き下げられたのでしょうか。
格下げは消費増税の延期がきっかけ
日本国債の格付けが引き下げられたのは、消費増税の延期がきっかけだとみられています。
消費税は2014年4月に5%から8%へ引き上げられました。当初は2015年10月に10%へさらに引き上げる予定でしたが、2014年11月、当時の安倍内閣は延期を表明します。
これを受け、まずはムーディーズが同年12月に日本国債の格付けを「Aa3」から「A1」へ1段階引き下げました。2015年4月にはフィッチが「A+」から「A」へ、同年9月にはS&Pが「AA-」から「A+」へそれぞれ1段階ずつ引き下げています。消費増税の延期に伴う財政への悪影響を懸念したものだと考えられます。
ただし格下げといっても、3社はいずれも一般に投資適格と見なされるA格を維持しました。市場の反応も限定的で、当時を振り返っても日本国債利回りの急騰は見られません。むしろムーディーズの格下げ後、10年国債の利回りは0.4%台から0.2%台にまで低下しました。これは日本国債が買われたことを意味します。市場は日本国債の格下げを落ち着いて受け止めたようです。
【日本10年国債利回り(2014年11月~2015年9月)】