格付けを過信してはいけない理由

格付けは、金融の知識がなくても簡単に発行体の信用力を測れる便利なツールです。ただし過信してはいけません。格付けは、発行体が破綻しないことを保証するものではないためです。仮に最上位の格付けが付与されたとしても、破綻の可能性はゼロではありません。

格付け会社は合理的な調査・分析に基づいて格付けを付与しますが、その能力には限界があります。例えばリーマンショックの引き金となった「リーマン・ブラザーズ」について、大手の格付け会社は破綻するまで投資適格とされるA格を付与していました。今でこそリーマン・ブラザーズの破綻は知られていますが、当時の格付け会社は危険性を見抜けなかったと思われます。

また、格付けは一般に発行体の信用リスクを評価するものであり、その他のリスクは原則考慮されません。このことからも、格付けが万能ではないということが分かります。

格付けの有用性を否定するわけではありません。しかし盲信は危険です。格付けは、あくまで判断材料の1つとして捉え、最終的な判断は自身の責任において行うようにしてください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。