これも違法? 個人も気を付けたい金商法

ゴーン氏が当初逮捕された理由は金商法違反でした。正式には「金融商品取引法」といい、ゴーン氏は有価証券報告書を偽った罪で起訴されています。

金商法は主に金融事業者を取り締まる法律ですが、実は個人にも適用されるケースがあるため気を付けなければいけません。公にされていない情報に基づき、不公正に利益を得る「インサイダー取引」が代表的です。

投資情報の発信にも注意してください。依頼などを受けて商品を分析するといった行為は「投資助言業」に該当する可能性があり、これを行うためには国に登録する必要があります。無登録のまま投資助言業を行うと、処罰の対象となりかねません。

【登録を受けたらどのような業務ができるのか】
投資助言・代理業の登録を受けてできる業務は、
・顧客に対し有価証券の価値等又は金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に関し助言(アドバイス)を行うこと
・投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介を行うこと

【無登録で営業した場合、罰則は】
5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する、となっております(金融商品取引法第197条の2)。

出所:関東財務局 登録に係るQ&A(投資助言・代理業)

また、株価などを変動させるためSNSなどで偽った情報を発信する行為(風説の流布)も禁止されています。こちらは投資助言業を無登録で行うよりも罰則が重いため、特に注意してください。

【金融商品取引法第158条「風説の流布、偽計、暴行又は脅迫の禁止」(一部抜粋)】
何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくはデリバティブ取引等のため、又は有価証券等……の相場の変動を図る目的をもって、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。

【金融商品取引法第197条(一部抜粋)】
次の各号のいずれかに該当する者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
5.第157条、第158条又は第159条の規定に違反した者……

出所:e-Gov法令検索 金融商品取引法

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。