・人気LCCが就航わずか3年で破産の衝撃…従業員を襲う一斉解雇の悪夢

1999年4月、経営難に陥っていた日産自動車を立て直すため、カルロス・ゴーン氏が同社のCOO(最高執行責任者)に就きます。コストの大幅削減などを掲げた「日産リバイバルプラン」を断行し、就任2期目から業績を急回復させました。

【ゴーン氏就任前後の日産自動車の業績】

日産自動車の決算短信より著者作成

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しかし現在、ゴーン氏は国外逃亡犯として有名です。2018年11月19日に金融商品取引法(金商法)違反で逮捕され、翌年の12月にレバノンへ脱出しました。日産自動車の救世主に何が起こったのでしょうか。

逮捕後に国外逃亡…日産にも巨額な課徴金命令

ゴーン氏が1回目に逮捕された理由は、有価証券報告書に自身の報酬を少なく記載した金商法違反の疑いです。当初は2015年までの5年間の不正に対する逮捕でしたが、翌月には2018年までの3年間についても疑いが強まったとして再逮捕されました。

さらに2回目の逮捕から約2週間後、今度は会社法違反で再逮捕されます。自身のデリバティブ取引で発生した損失を、日産自動車に付け替えた特別背任の疑いによるものです。2019年4月には、日産自動車の資金を私的に流用した疑いで再び逮捕されました。つまりゴーン氏は短期間に4回も逮捕されたことになります。

【ゴーン氏の逮捕歴一覧】
・2018年11月19日:金商法違反(有価証券報告書の虚偽記載)
・2018年12月10日:金商法違反(有価証券報告書の虚偽記載)
・2018年12月21日:会社法違反(特別背任)
・2019年4月4日:会社法違反(特別背任)

ゴーン氏は裁判を待つ身でしたが、2019年12月31日、保釈の条件として課せられた海外渡航の禁止を破りレバノンへ不正に出国したことが分かりました。検察はゴーン氏を起訴していますが、事実上公判へ進むことは難しい状況となっています。

残された日産自動車には重い処分が下されました。日産自動車は法人としても起訴されており、金融庁が2020年2月に約24億円の課徴金納付命令を下したほか、東京地裁が2022年3月に2億円の罰金を命じます。なお、課徴金制度には同一事件で別に罰金命令が下された場合に相殺する規定があるため、課徴金の額はおよそ22億円に修正されました。