・日銀が金利引き上げ断行…経済混迷、金融機関が相次ぎ破綻の異常事態

2007年10月、それまで国によって運営されていた郵便事業が民営化され、「日本郵政グループ」が誕生しました。うち「日本郵政」と「かんぽ生命保険」、「ゆうちょ銀行」は2015年11月4日に上場を果たします。1987年の「NTT」、1998年の「NTTドコモ」に次ぐ歴代3番目の大型上場に、市場の期待は大いに集まりました。

しかし、上場後の日本郵政グループはあまり好調とはいえない状況が続いています。日本郵政グループ3社について、これまでの動きを振り返りましょう。

株価は長期低迷

同時に上場した日本郵政グループ3社は、いずれも公開価格(※)を上回る初値(※)が付きました。しかし、その後の株価は低迷しています。コロナショックもあった2020年からは反発傾向にありますが、2022年10月20日時点の株価は上場日のおよそ6割程度にすぎません。

※公開価格:上場前に投資家が購入した価格
※初値:上場後の最初の株価

【日本郵政グループ3社の株価(2015年11月4日終値を100とした場合)】

Investing.comより著者作成

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株価の長期低迷は、好転しない業績に理由がありそうです。3社はいずれも売上高が上場直前(2015年3月期)を下回っており、減少率が最も大きくなった「かんぽ生命保険」では36%以上も減少しました。

【売上高の推移】

出所:各社の決算短信より

上場こそ近年に行われましたが、日本郵政グループは誕生から150年以上たつ成熟した企業です。新興企業のような成長力は望みにくいかもしれません。

また、ここ数年に相次いで発生した日本郵政グループの不祥事も、業績に暗い影を落としています。2019年に保険の不適切な販売が明らかになり、2020年にはグループ社員による「持続化給付金」の不正受給が発覚しました。業績の向上にはますます期待しづらい状況となっています。

高成長が難しいなら配当金に期待したいところです。日本郵政グループ3社の配当金を見ると、「日本郵政」を除き配当金が前年を下回ったことはありません。日本郵政においても、2018年3月期は特別配当が7円分含まれているため、実質的には2017年3月期から50円の配当が続いています。配当金の安定性にはある程度期待できるかもしれません。

【配当金の推移】

出所:各社ウェブサイト、決算短信より

【日本郵政グループ3社の直近の業績】

※2023年3月期(予想)は、第1四半期時点における同社の予想

出所:各社の決算短信より