2つの制度は併用可能! 支給を受ける権利の消滅時効に注意

ちなみに、医療費控除も高額療養費制度も「負担した医療費分を取り返せる」点では同じだからでしょうか。「併用できないのでは?」と心配される方も多いのですが併用できます。

年齢や所得によって自己負担限度額が定められていますが、日本の平均給与443万円のケース(70歳未満)で見た場合の自己負担限度額は9万4097円です。自己負担額の合計が年間10万円を超える場合には「医療費控除」も申請できるので、2つの制度を活用しない手はありません。

また、高額療養費制度の支給を受ける権利の消滅時効は、診療を受けた月の翌月初日から2年であることにも注意が必要です。自分が加入している健康保険や生命保険の種類、上限額や診療月などを改めて確認した方が良いでしょう。

2021年10月1日時点の65歳以上の人口は3621万人で、高齢化率は28.9%。2036年には国民の3人に1人が65歳以上になると推計されており、長生きとともに膨らむ医療費から身を守らなければなりません。

2022年10月からは、年金収入とその他の所得の合計額が一定以上(単身で200万円以上、2人以上世帯で320万円以上)がある75歳以上の後期高齢者の窓口負担割合は原則1割から2割に引き上げられました。紹介状がないまま大病院を受診した際の料金も初診で7000円以上へと2000円引き上げられました。

老後に必要な資金を守るためにも医療機関の領収書は捨てず、「高額療養費制度」「医療費控除」の2つを活用しましょう。