フリーランスと会社員の社会保険の違いについて、前回(会社員だけがもらえる給付金も!? フリーランスと会社員、年金や健保はどう違う?)は年金制度と健康保険について解説しました。第2回となる今回は、原則会社員しか加入できない社会保険制度や福利厚生制度についてご紹介します。
フリーランスとして独立してから「この制度は会社員だけのものだったんだ!」と気付くことがないよう、今のうちから理解しておきましょう。
脱サラ後、フリーランスとして収入があると雇用保険の「失業給付」はもらえない!
雇用保険は労働者が失業や雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付や支援が受けられる社会保険制度です。
雇用保険は大きく分けて、「失業等給付」「育児休業給付」「雇用保険二事業」に分類されます。失業等給付にはさまざまな種類がありますが、失業時に一定の条件を満たせば給付される「求職者給付の基本手当(いわゆる失業給付)」がよく知られています。育休期間中に支給される「育児休業給付」もご存知の方は多いかもしれませんね。最後の「雇用保険二事業」は、失業の予防や雇用機会の増大、労働者の能力開発等に関する支援制度です。
雇用保険の保険料は業種によって事業主と労働者で負担割合が決められています。令和3年度の「一般の事業」の雇用保険料率は0.9%です。そのうち労働者負担は0.3%、事業者側は0.6%となっています。
求職者給付の基本手当は通称「失業給付」と呼ばれるものです。失業給付は雇用保険の被保険者が勤務先の倒産や定年などさまざまな理由で失業中した際に、できるだけ早く再就職できるように失業時の収入を補うことを目的として支給されるものです。
失業給付を受けることができる日数は、離職時の年齢や雇用保険の被保険者であった期間、離職の理由などによって90日~360日の範囲で定められています。
基本手当の所定給付日数は(基本手当の支給を受けることができる日数)、離職時の年齢、雇用保険の被保険者であった期間および離職の理由などによって、90日~360日の間で定められています。
なぜ、フリーランスは失業給付を受けられないのか
失業給付を受けるためには、失業状態であることが求められます。失業状態とは以下のすべての条件を満たす場合のことをいいます。
・就職しようとする意思があること
・いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること
・上記の状態にあるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている
フリーランスは上記の条件に該当しないため、原則失業給付を受けることができません。
ただ、フリーランスとして独立しても軌道に乗って安定的に収入を得られるようになるまでには時間がかかることがあります。また何らかの事情で仕事がなくなった場合に備える必要もあります。こうしたリスクを想定して、フリーランスの方は独立前に目安として1年分程度の生活費を蓄えておくのが望ましいでしょう。