意外な盲点!? 法定外福利厚生の存在は大きい
福利厚生制度とは、会社が従業員やその家族に対して、健康で豊かな生活を送れるよう支援する取り組みの総称です。
福利厚生制度には大きく分けて「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」があります。法定福利厚生とは、これまでにご紹介した厚生年金や健康保険などの社会保険や労働保険(雇用保険・労災保険)といった法律によって加入が義務付けられている福利厚生制度です。
一方、法定外福利厚生は、企業独自で提供する福利厚生サービスを指します。代表的な法定外福利厚生サービスには以下のようなものがあります。
・住宅手当
・家族手当
・資格取得支援
・健康診断や人間ドックの補助
・社食
・カフェテリアプラン方式(選択型福利厚生制度)
上記のような法定外福利厚生が受けられない点もフリーランスになる際は十分注意しておく必要があります。
法定外福利厚生のなかで比較的多くの企業で導入されているのは交通費の支給ではないでしょうか。通勤を伴うフリーランスの方にとっては、交通費の支給の有無は家計にそれなりのインパクトがあるでしょう。また賃貸住まいの方にとって住宅手当(家賃補助)は毎月の生活費の大きな支えとなっている可能性があります。
筆者がフリーランスになってから思わぬ負担感を感じたのは、健康診断の補助でした。フリーランスが加入する国民健康保険でも健康診断の費用補助が受けられる自治体は多いのですが、補助が受けられる年齢に制限があったり検査項目が限定的だったりと、会社員が受けられる健康診断・人間ドックの補助より内容が手薄です。筆者の場合は会社員時代に毎年受けていた人間ドックの項目の一部が国民健康保険に切り替わったことで補助が受けられなくなったため、その分の検査項目は自己負担で毎年2万円程度支払っています。
このように、これまで法定外福利厚生のある会社で働いていた会社員がフリーランスになる場合、法定外福利厚生がなくなることで思わぬ負担が生じる可能性があります。フリーランスと会社員の社会保険制度の違いは耳にする機会が多いかもしれませんが、法定外福利厚生が受けられなくなる点は見落としがちです。フリーランスとして独立を検討している方は、今働いている会社でどのような法定外福利厚生が提供されているのか把握しておくことをおすすめします。
まとめ
年金制度や健康保険以外にもフリーランスと会社員では制度面で大きな違いがあることをご理解いただけたでしょうか?
労災保険の特別加入のように、近年増加するフリーランスに対応すべく社会保険制度が見直されつつある昨今。しかしまだまだフリーランスと会社員の制度面の格差は大きいのが現状です。
フリーランスとして独立を考えている方は、フリーランスになることで今回ご紹介したような社会保険制度や福利厚生サービスが受けられなくなることをしっかり把握しておきましょう。