「元気にピンピンと長生きし、ある日、コロリとなくなりたい」。そう願う人は多いのですが、実際に“ピンピンコロリ”で旅立たれる人はたったの5%らしいですね。最近、そんな話をある本で読みました。残りの95%は、言ってみれば、生命寿命と健康寿命に差がある、ということでしょう。そして、その多くは、がんの治療や介護が必要な期間と重なるのではないでしょうか。ですから、がんや介護のことが、人生100年だからこそ備えるべきライフイベントになっているのだと思います。
とはいえ、がんも介護も人それぞれ。それに“自分事(じぶんごと)”として考えたくない類いのものですから、「何から備えたらいいのか分からない」、そんな人も多いと思います。でも実は、がんや介護に備えるときも、考え方は老後資金と同じです。具体的には、国の保障(老後資金の場合、公的年金制度。以下、同じ)を確認し、勤め先の保障(企業年金や退職金制度等)を踏まえた上で、自助努力としての備えを考える、という順番です。そして、がんの場合は健康保険制度が、介護の場合は介護保険制度が国の保障にあたります。今回、健康保険や介護保険までは言及しませんが、老後資金と同じように、がんや介護についても、国の保障という大きな土台があることはご認識いただきたいと思います。
そこで今回は、40代や50代向けのライフプランセミナーでもお話しすることが多い、がんと介護への備えについて、自助努力として準備すべき、治療費や費用の相場観をご紹介しましょう。また、いつまでにどれくらいのお金が必要なのか、そんな相場観を確認できたら、その土台作りに最適なマネープランをお伝えしたいと思いますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。