増額率ばかりに注目しがちだが……
また、一部の場合を除いて、66歳までに障害年金や遺族年金の受給権のある人はそもそも繰下げができません。つまり増額率は0%です。老齢年金は65歳開始でしか受給できず、しかも、障害年金や遺族年金とは支給が調整されることにもなります(併給調整と言います)。繰下げ可能な66歳以降になってからこれら他の年金の受給権を取得すると、老齢年金の繰下げ増額はその時点までとなります。
以上のような注意点があることから、「70歳繰下げで42%増額」、「75歳繰下げで84%増額」とは言い切れません。繰下げによる増額率など数字ばかりが強調されていますが、繰下げで増額対象となるのはどの部分か、繰下げで自分の年金は実際にいくら増えるのか、あるいは増えないのかをしっかり把握しておくことが大切です。50歳以上の人は年金事務所等で加入条件に応じた繰下げ受給の見込額を試算してもらうと良いでしょう。