6月の本連載(米国株に熱い思いを抱く皆さんへ。次の一手として考えておくべきこと)では、米国株ファンドの人気ぶりと、セミナーでよく寄せられる質問について取り上げたが、今回はまた違う角度から米国株を掘り下げていきたい。

足元の数カ月で潮目が変わったことと言えば、「為替」だ。円安傾向は昨年から続いていたが、今年3月に1ドル120円台を付けた後、9月には145円に到達し、同月22日にはついに政府・日銀が24年ぶりの円買い・ドル売り介入に踏み切った。この急速な円安進行に対して、投資信託の保有者が警戒すべき点はあるのだろうか。まずは、為替と投資信託の関係性について整理しておこう。

円安の進行が投資信託の運用成績に与える影響

円安とは読んで字のごとく、ドルに対して円が弱くなることだ。円の価値が下がるということは、例えば、もともと100円で購入できた海外製品が、140円払わないと購入できなくなるということでもある。最近は原油や穀物などさまざまな原材料価格も上昇しているため、円安との「ダブルパンチ」状態により、私たちの日常生活に欠かせない、あらゆる食品や日用品も値上げを余儀なくされている。

一方、見方を変えれば、円安とは同時に「ドル高=ドルの価値が高くなる」ということでもある。米ドル建ての資産を保有している場合、その資産の円換算での価値は上昇する。したがって、外貨建て資産を組み入れた投資信託は、為替の含み益(差益)が運用成績に上乗せされた状態になっている(ただし、為替ヘッジ機能が付いていない場合に限る)。

では、実際に足元の円安進行は、運用成績にどの程度影響を与えているのか。