為替変動リスクを回避できる為替ヘッジ機能

さて、これだけ早いスピードで円安が進むと、今後の動きが気になるかもしれない。今回とは逆の動き、つまり、為替が円高方向に振れるとドルの価値が下がり、円換算のリターンも押し下げられる。これこそが、外貨建て資産に投資する際に負う為替変動リスクである。とはいえ、投資信託を活用した長期の資産形成で重要なのは、短期的な為替変動の行方を予測することではなく、為替リスクは存在するという前提のもとで、付き合い方を把握しておくことだ。

最後に、投資信託の為替ヘッジ機能について触れておきたい。

先述した、S&P500指数をはじめとする米国株のインデックスファンドは、基本的に為替リスクを100%負う。これに対し一部のファンドには、為替変動の影響を抑えることを目的に先物取引やオプション取引を利用した為替ヘッジ機能が付いている。

近年は同じ投資信託のシリーズで、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」がペアで展開されるケースも増えた。「為替ヘッジあり」のファンドを選ぶと、足元のような円安進行時に恩恵を受けることはできないが、為替変動の影響を気にすることなく海外の株式や債券に投資することができる。

また、株式や債券など、複数の資産を組み入れて運用を行うバランス型の中には、運用資産の一部に限定して為替ヘッジをかける「部分ヘッジ」や、市場環境に応じて為替ヘッジをかける「適時ヘッジ」もある。数年以内に使途が決まっている資金などは、為替も含め全体のリスクをコントロールしてくれるファンドを選択するというのも1つの方法である。

もっとも、為替ヘッジはあくまでも為替変動の影響を回避するための「保険」のような機能であって、円高進行で追加的な利益を期待できるというものではない。この点は注意してほしい。