相続税の納税資金を用意すべき

松野さんのように「相続税を払えない状況」に陥らないためにはどうすればよかったのでしょうか?

現預金を残して不動産を購入

1つ目に、父親が不動産を購入するときに現預金をほとんど全て使ってしまったことが問題です。このときに納税資金として余裕をもって500万円程度残しておけば、このような目には遭わずに済みました。

高額なアパートを一括購入してしまったという選択に誤りがあったといえます。節税対策で不動産を購入・建築する際には、現預金をある程度残しておくべきです。

生命保険を活用

2つ目の対処法として、生命保険を活用することも可能です。

父親が現預金を使って終身などの生命保険に加入し、受取人を子どもたちにしておく方法です。そうすれば、父親が死亡したときに松野さんたちに現預金が入ってきて、納税資金に充てることができました。

死亡保険金には相続税の控除制度も適用されるので、現預金を払って生命保険に加入するだけでも節税対策になります。松野さん親子は、アパートを購入する前に生命保険への加入を検討すべきだったといえるでしょう。

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今回は相続税の節税で失敗した松野さん親子のケースをご紹介しました。「不動産を購入・建築すると相続税を大きく節税できる」というのは事実ですが、思わぬ落とし穴があるものです。延納しても、利子税の分余計に相続税を払わねばなりません。

高額な現預金を持っていると、それを狙う不動産業者なども近づいてくるかもしれません。

節税に傾倒しすぎて「本末転倒」にならないよう、十分に注意して節税対策を行いましょう。

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