のんきで無関心だった妻にも変化が
それから間を置かず、もう1回面談がありました。先野さんから、「今度は奥様と一緒に来てください」と言われていたからです。妻を前に、先野さんはしかつめらしい態度でパソコンを立ち上げ、わが家の家計をシミュレーションしたライフプランシートを見せました。
「そもそもご主人が60歳で退職すると、年金の受給が始まる65歳までの5年間は無収入になります。このまま何の手も打たないと、ご覧の通り、60代半ばで栗橋さんの家計は破綻しますよ」
先野さんの話に妻が目を白黒している姿は、横から見ていて少しばかり痛快でした。
その後、先野さんは、2人家族にしては多過ぎる食費、月3万円近くに上っていた妻の通販での買い物など、わが家の家計の問題点を次々と指摘していきました。それには、さすがの妻もたじたじでした。そして、先野さんが提案した「家計簿を習慣化して収支を正確に把握すること」、「スーパーに行く回数を減らし食料品は計画的に購入すること」、「妻の小遣いを予算立てして化粧品や洋服、美容院代などはその中でやりくりすること」などを逐一メモしていたようです。
順調に返済が進み、資産運用にも興味
あれから2年たち、今年の春、私は38年勤務した会社を定年退職しました。そしてその翌日から先野さんに紹介された会社で働き始めています。2年間の準備期間で業務の引き継ぎをしてきたので、新しい職場でも戸惑うことはありません。むしろ給与や福利厚生などの待遇は今の方が恵まれていて、これなら65歳を超えて働いてもいいくらいです。