——直近DC向けにどのような商品が設定されたか教えていただけますか?

新規設定ファンドでは、2本のファンドについて紹介します(図6)

図6 2022年6月 新規設定ファンド(直近30本、過去2年間)

※ 公社債投信等を除くDC専用ファンド 出所:三菱アセット・ブレインズ

1本目は三井住友トラストアセットマネジメントの複合資産型ファンド「10資産分散投資ファンド」です。名前のとおり、10個もの資産にバランス良く分散投資するファンドです。おおまかにいって、国内株式、先進国株式、新興国株式などの株式資産に30%、国内債券や先進国債券、新興国債券などの債券資産に65%、国内REITや海外REITなどのREIT資産に5%それぞれ投資します。特徴的なのは、普通の先進国債券だけでなく、先進国物価連動国債に投資する点と言えるでしょう。物価連動国債が組み入れられているファンドは珍しいです。物価連動国債は物価変動に合わせて元本が変動する国債で、インフレに強い債券とされています。海外でインフレが進んでいる現状では、物価連動国債への投資は選択肢の一つとして良いかもしれませんね。

2本目はブラックロック・ジャパンの外国株式型ファンド「iシェアーズ 米国株式(S&P500)(DC)」です。名前のとおり、アメリカの時価総額の大きい約500銘柄で構成される、S&P500指数に連動する投資成果をめざすパッシブファンドです。ブラックロックが運用するETFを通じてアメリカの株式に実質的に投資します。アメリカ株式は今最も人気を集めているアセットクラスです。アメリカ経済の成長性の高さに市場の注目が集まっています。当ファンドの運用管理費用は約0.08%、投資先のETFの費用を含めても約0.11%程度であり、運用管理費用は低位に抑制されています。運用管理費用の安さを追求する加入者からの資金を集めるかもしれませんね。パッシブファンドの世界では運用の巧拙でパフォーマンスに差が付きにくいことから、運用管理費用の違いがパフォーマンスに与える影響は大きいです。投資先にパッシブファンドを選ぶ際には、そのファンドの運用管理費用が類似のファンドと比べて、高いのか低いのか、よく確認する必要があると思います。同じインデックスに連動をめざすファンドであれば、なるべく運用管理費用が安いファンドを選ぶと良いでしょう。

以上、パフォーマンス動向、資金流出入動向、新規設定ファンドの紹介をさせていただきました。
(聞き手:Finasee)