ブレグジットとは?

そもそもイギリスはなぜEU離脱を選んだのでしょうか。背景にはEU予算に対する拠出金の負担があったといわれています。

EUの歳入の多くは加盟国から集められる拠出金が占めています。拠出金はGNI(国民総所得)に応じて大きくなる仕組みのため、経済規模の大きいイギリスは比較的大きな負担を強いられていました。

EUに多額の拠出金を支払う一方、イギリスに割かれるEU予算は大きくありません。大和総研によると、イギリスの純拠出額(拠出金-EU予算からの受け取り)は2014~2016年の実績で200億ユーロ以上に上り、加盟国で2番目に大きかったようです。

出所:大和総研 Brexit により変革を迫られるEUの地域政策

また、移民の問題もあったといわれています。EU域内は人の移動が制限されないため、大きな経済を持つイギリスには仕事を求める移民が多く流入していました。EUに加盟している限りこれを制限することはできず、そのことに対する不満がイギリス国内にたまっていたとされています。

これらの不満を緩和することで自身の支持につなげたい思惑があったキャメロン前首相は、2013年にEU離脱を問う国民投票の実施を宣言し、2015年の総選挙時の公約にも盛り込みました。前述の通りキャメロン前首相自身はEU残留の考えを持っていましたが、イギリス国民がEU離脱を選ぶことはないと考えていたようです。しかし思惑は外れ、支持につなげるどころか辞任に追い込まれてしまいました。

後任のメイ首相もブレグジットを果たせませんでしたが、メイ政権で外相を務めたボリス・ジョンソン氏が政権を引き継ぎ、2020年1月にEUを離脱します。2020年末までの移行期間を経て、現在では完全にEU離脱を果たしました。