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4年前の5月24日、ある女性首相が辞任を発表します。辞意を表明したのはイギリスのテリーザ・メイ首相(当時)で、サッチャー氏に続くイギリス史上2人目の女性首相です。
メイ政権はブレグジット(イギリスのEU離脱)のために誕生しますが、退陣の理由もブレグジットでした。イギリスで何が起こったのでしょうか。経緯を振り返ってみましょう。
EU離脱に翻弄された不遇の政治家
メイ政権は2016年7月に誕生します。当時のイギリスは国民投票でブレグジットを決定した直後にあり、メイ首相は離脱に向けた協議を取りまとめることが大きな役割でした。
メイ首相自身はEU残留派でしたが、同じくEU残留派だったキャメロン前首相が辞任したため首相に就任しています。外相には主要な離脱派だったボリス・ジョンソン氏を任命し、離脱に向けてEUと交渉を始めました。
しかし離脱交渉は混迷を極めます。メイ首相がEUと取りまとめた離脱協定案はイギリス議会で承認を得られず3度も否決されました。イギリス議会はアイルランドとの国境管理や関税などの面でより良い条件をEUから引き出したい思惑があったと考えられています。
メイ首相は野党の取り込みを狙いEU残留もあり得る新しい提案を行いますが、与党はこれに反発。抗議のために政権を辞任するメンバーも出てしまいました。また肝心の野党もこの提案に乗らず、メイ首相は四面楚歌に陥ってしまいます。
結局メイ首相はイギリス議会から支持を取り付けることができず、2019年5月24日に辞任を発表しました。涙ながらに辞意を表明したスピーチを覚えている人も少なくないでしょう。メイ首相は政策スタンスを変えてまでブレグジットに奔走しますが、その労が報われることはありませんでした。