保険業法の改正で相互会社の株式会社化が可能に

1990年代前半には経営が悪化する保険会社が多くなり、改善のために保険業法の改正が何度も行われています。1995年の保険業法改正では、相互会社から株式会社への組織変更が認められるようになりました。この改正によって相互会社の株式会社化が進み、現在の相互会社は日本生命などの大手5社となりました(2023年4月現在)。

生命保険会社の経営破綻と会社形態の関係

これまで述べた相互会社の問題が、生命保険会社の破綻に直接関係したとはいいきれません。しかし、通常の株式会社並みの透明性のある経営が行われていれば、破綻が避けられたケースもあったのではないでしょうか。

破綻した保険会社の中には、経営者による会社の私物化や経営危機のもとで適切な判断ができなかったなど、外部要因以外の問題も散見されます。保険事業の公共性から発生した相互会社で、顧客利益を考えない経営が行われていたのは残念なことです。

顧客本位の開かれた経営を

バブル崩壊後の生命保険会社の経営は、大手といえども厳しいものでした。その中で保険業法が改正され、相互会社も開かれた経営を求められるようになりました。株式会社に組織変更する保険会社もある一方で、あえて相互会社として存続する保険会社もあります。保障内容は、相互会社も保険会社も変わりません。今後はそれぞれの特性を生かし、顧客のために透明性の高い経営が行われることが望まれます。

執筆/松田聡子

明治大学卒業後、ITエンジニア、国内生命保険会社での法人営業を経て、2007年より独立系FPとして開業。コンサルティングの他、企業型確定拠出年金講師や執筆活動に従事。人生100年時代を最後まで自分らしく生きるためのお金のアドバイスと情報発信がライフワーク。日本FP協会認定CFP、DCアドバイザー、証券外務員二種。