先物型ETFは「ロールコスト」に注意!

原油先物を直接取引する方は少ないでしょう。しかしETF(上場投資信託)を通じてこれら原油先物を取引している方は一定数いると思います。例えば「WTI原油価格連動型上場投信」はWTI原油先物に投資しているため、同ETFを買えば実質的にWTI原油先物に買いを行うことが可能です。株式と同じように取引できるほか、現物の原油を受け取る必要もないため手軽に取引できるでしょう。

しかし、これら先物型ETFに投資する場合は「ロールコスト」に注意しなければいけません。ロールコストとはETFが投資している先物商品が次の期日に切り替わる際に発生するコストです。

先物商品が取引最終日を迎えた場合、次に期日が近い銘柄が主に取引されます。例えば5月物の取引が終われば6月物が取引の対象です。先物型ETFも投資を継続するため次の期日に切り替える必要があり、これを「ロールオーバー」といいます。

そして原油先物商品は基本的に期日が近いものほど価格が低く、期日が遠いものほど高い傾向にあります。これは現物の原油を引き受けたときの保管コストが価格に反映されるためだと考えられており、このような状況を「コンタンゴ」呼びます。

コンタンゴが起きている場合のロールオーバーは「価格が安い期近の先物を売り、価格が高い期先の先物を買う」という取引となります。つまり「安く売って高く買う」不利な取引であり、ETFにとっては実質的なコストです。これをロールコストと呼び、このようなロールオーバーを繰り返す先物型ETFは減価していくため注意しなければいけません。

もちろんロールコスト以上に先物価格が上昇すれば先物型ETFも上昇します。また、原油先物は常にコンタンゴが起こるわけではなく、反対に期日が遠いほど価格が下がる「バックワーデーション」が起こる可能性もあります。この場合はロールオーバーでむしろ利益が得られるでしょう。