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新型コロナウイルスの感染拡大で初めて緊急事態宣言が発出された2020年4月、商品市場である記録的な出来事が起こります。原油先物が史上初めてマイナス価格で取引されたのです。それまでおよそ20ドル前後で取引されていましたが、4月20日にマイナス40.32ドルまで売り込まれました。
【WTI原油先物の値動き(2020年4月)】
マイナス価格で取引されたということは、「お金を払ってでも売ってしまいたい」という人がいたということです。なぜそのような動きが出たのでしょうか? 理由を確認しましょう。
マイナスで原油が取引された理由
原油先物がマイナスで取引された理由は「本物の原油を受け取りたくない投機筋が多く参加していたため」だと考えられます。
マイナス価格を記録したのは原油先物商品の1つ「WTI原油先物」です。先物取引とは将来のある時点での決済を約束して行う取引で、それまで売買せず期日を迎えた場合は何らかの方法で清算しなければいけません。
WTI原油先物の場合、決済の方法は現物の受け渡しです。つまり期日までWTI原油先物の買い(ロング)ポジションを持ち続けた場合、本物の原油を受け取らなければいけません。
石油業者のように原油の貯蔵施設を持つ参加者なら現物の受け渡しに応じられるでしょう。しかし、単に原油先物のトレードで利益を目指した投機筋にとって現物の原油は引き取れません。このため原油を受け取りたくない投機筋は取引最終日までに買いのポジションを手放す必要がありました。
マイナスを記録したWTI原油先物の取引最終日は4月21日で、投機筋は前日から買いのポジションの解消に動いたと思われます。WTI原油先物はマイナスまで取引され、最終日の21日も一時マイナス価格を記録しました。これが、原油先物がマイナスとなった主な理由です。