加入後、積み立てできなくなった時の選択肢

このiDeCoの積み立てができなくなる方の中にはすでにiDeCoに加入して積み立てしているという方もいらっしゃると思うので、2024年12月時点の残高の扱いについてお話しておきます。

iDeCoに加入して積立を行うことが出来なくなった場合のiDeCo資産の扱いについては、いくつか選択肢があります。まず、何もしなければ、その残高の運用を少なくとも60歳まで続け、受け取り可能になったら受け取るということになります。非課税での運用は続けられますが、その間、口座管理料がずっと残高から差し引かれていきます。まだ若い方は60歳までの期間が相当長いですから、口座管理料で目減りする額がそれなりになりそうなので、この方法はあまりお勧めできません。

その他の選択肢としては、他の制度に持ち込んでしまう方法があります。移換先の第一候補はDBです。

充実しているDBへiDeCoの残高を持ち込み、将来受け取るDBに上乗せして支払ってもらうというものです。ただこれは会社のDB側が資産受け入れ可能であればという条件付きになります。受け入れするためには、資産管理上も複雑になることから、現在はほとんどのDBが受け入れを認めていない状態です。

DBへの移換が叶わない場合、企業型DCがあれば、そこへ資産移換が可能です。企業型DCは資産を受け入れする仕組みが制度上整っているので、どの企業型DCでも移換できます。具体的な手続きとしては、企業型DCの担当者の方にiDeCoから資産を持ち込みたい旨を伝えると、「資産移換依頼書」という書類が渡されます。移す際にiDeCoの資産がどこにあるかといったいくつかの項目を書いて提出さえすれば、手続き完了です。ときどき、「会社の企業型DC担当者にいくらの資産を移換したか、ということを知られるのではないか」と心配される方はいますが、個人情報ですから会社に伝えられることはありません。

いずれの移換をする際にも、iDeCoで保有している商品は売却され、一旦現金化することによって移すことになります。また、iDeCoの契約先によっては4200円の移換手数料を徴収されます。移換手数料を徴収する運営管理機関は2022年1月末時点では、SBI証券・楽天証券・大和証券・さわかみ投信・マネックス証券・auアセットマネジメント・auカブコム証券・SBIベネフィットシステムズです。今後変更される可能性もあると思いますので、移換時点に改めてご自身でご確認をお願いいたします。

iDeCoは、どんどん加入可能となる範囲が拡がり、拠出できる金額も個別の事情に合わせて拡がる改正が行われます。私が理事をしておりますNPO法人確定拠出年金教育協会では毎月10万人以上の方にご利用いただいているiDeCoの情報サイト「iDeCoナビ」にて、制度改正を先取りした「新加入資格 かんたん診断」を提供しています。ユーザー登録もなく誰でもお使いいただけますので「iDeCoナビ」の「新加入資格かんたん診断 2022年10月版」を活用いただけたら幸いです。