減額率が0.5%から0.4%へ改正される

その1月当たりの繰上げ減額率は2022年4月の改正で0.5%から0.4%になります。60歳0カ月で繰り上げると、24%(0.4%×60カ月)の減額となり、76%の額で受給することになります。

0.4%の減額率の対象となるのは1962年4月2日以降生まれの人、つまり改正以降に60歳を迎える人となります。改正前からすでに60歳を過ぎている人が2022年4月以降に繰上げをする場合、減額率は0.5%のままですのでご注意ください。

日本人の平均寿命は、男性81.64歳、女性87.74歳となっています。長生きをすると、繰上げ受給より、繰上げせず65歳受給開始のほうが生涯の受給累計額が多いとされています。繰上げで早くから減額受給した場合と減額なしの65歳開始で受給した場合の受給累計額で逆転する時が来ます。60歳繰上げ受給と65歳受給開始との逆転時期であれば、改正前の30%減額の場合は76歳8カ月、とほぼ77歳ですが、改正後の24%減額の場合は80歳10カ月、とほぼ81歳となります。

※ 厚生労働省「令和2年簡易生命表の概況」より

繰上げ開始時期がそれより1年後になるごとに逆転時期も1年後となります。例えば、64歳0カ月での繰上げならば、減額率が6%(0.5%×12カ月)から4.8%(0.4%×12カ月)に変わり、逆転時期も60歳繰上げの場合の+4年となるため、80歳8か月から84歳10カ月に変わります。

受給累計額の逆転時期(本来の支給開始年齢が65歳の場合)

※逆転時期は年金にかかる税金などを考慮していません。

減額率が下がることによって受給できる額も多くなることから、改正前と比べれば繰上げのハードルは下がったと言えます。