投資して終わりでなく、対話やつながりから企業価値の向上へ

投資先企業に関しては、投資したらそれで終わりではありません。四半期決算のたびにおこなわれるIR(投資家向け広報)の場でコミュニケーションを取るのはもちろんですが、それ以外の場でも、投資先企業との間で対話を繰り返しています。
たとえば、統合レポートのなかで自分たちの重要課題をどのように表現すればよいのか相談に乗って欲しいとか、社内報で社員向けのメッセージを寄せて欲しいという依頼を受ければ対応しますし、時には社員向けの研修に招かれたりすることもあります。

このようなことを繰り返しているうちに、面白いことに投資先同士で協業するという事例も増えてきました。たとえばアウトドア製品のメーカーとプラスティック製品のリサイクルをおこなっている企業が協業してエコバッグを作り、それを駅の売店で無料配布するとか、タオルメーカーさんが開発した赤ちゃんの前掛けを、ベビー用品メーカーのeコマースで販売するといったプロジェクトも自然発生的に生まれました。

鎌倉投信自体が大きな会社になる必要はないと考えているのは、こういう事実があるからなのです。2万人の受益者がいて、その家族がいて、投資先が70社近くあり、その社員がいる。そういうつながりの輪を広げていくことによって、鎌倉投信自体は小さくても、社会全体によい変化を生んでいくことができれば、と考えています。

取材・文/鈴木 雅光(金融ジャーナリスト)

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