〈前回まで〉
投資信託委託会社「鎌倉投信」の代表取締役社長、鎌田恭幸氏にロングインタビューし、ファンドの設立や運営の苦労話などこれまでを振り返って頂きました。独立系で大手の資本に頼らず運用資産の最大化を目的にしない異色のファンドは、スタート直後は資金が思うように集まらず苦戦を強いられます。そんな中、2011年に発生した東日本大震災では、鎌倉投信の存在価値を再認識させられることになります。日本中が混乱に陥り悲しみに暮れる中、初の投資信託「結い2101」のコンセプトに共感した投資家からの資金が集まり始めるのです。社会貢献につながるいい会社に投資するというファンドの想いが、被災した日本を少しでも元気にしたいと考える投資家の受け皿になっていったのです。

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いたずらに規模を拡大させるのではなくブレない経営を

私たちが運用・販売している投資信託、「結い2101」は、100年以上にわたって投資家から支持される投資信託として、300年社会に貢献する企業を応援し、1000年続く持続的な社会をつくる一助になる、というコンセプトを持っています。

時々、メディアのインタビューなどで「鎌田さんは将来、何か新たに挑戦したいことはありますか?」などと聞かれることがあるのですが、正直、今のところ何もないとしか答えようがありません。私にとって最大のミッションは、鎌倉投信を持続的な会社にすることなのです。

結い2101を通じて「1000年続く持続的な社会をつくる一助に」と
意気込む鎌倉投信の代表取締役社長、鎌田恭幸氏
 

おかげさまで、結い2101の純資産残高は、2022年1月時点で452億8900万円になり、業績は黒字化してきました。とはいえ、さらに業績を拡大するために、大手金融資本からの出資を受け入れ、事業を発展・成長させて株式の上場を目指す、というようなことはまったく考えていません。

鎌倉投信の資本金は、半分以上を創業メンバーで出し合い、残りは個人の支援者にご協力いただきました。それは、鎌倉投信の経営理念や投資方針をブレないものにするのに必要だからです。この考えを変えるつもりはありません。今後も、いたずらに規模を追求することなく、鎌倉投信のミッション、ビジョンが永続できるような体制を固め、組織や商品のクオリティを上げていくことに専心したいと思います。