投信業界のキーパーソンにロングインタビューする投信人物伝。シリーズ第6回は資産運用会社「レオス・キャピタルワークス」の創業者で代表取締役会長兼社長最高投資責任者(CIO)の藤野英人氏に話を伺いました。レオスは国内外の成長企業に投資する「ひふみ投信」を運用。2021年には同シリーズの運用残高が1兆円を超えるなど日本を代表する独立系の著名ファンドへと成長しました。その運用の中核を担う藤野氏に、これまでのキャリアを振り返ってもらいながらレオスの立ち上げから運用哲学、ひふみ投信の在り方など目指す理想のファンド像に迫ります。

法曹界を目指すも偶然出会った運用の世界に

正直なところを申し上げると、運用の世界に入ったのは偶然です。学生時代は全く興味のない世界でした。学生時代の私は、法曹界を目指していたのです。というのも、私の祖父が最高裁判所の判事だったのですが、その子供達は法曹界とは無縁の仕事を選んだこともあり、孫である私に期待がかかったということもありました。

だから、大学は法学部に入り、本気で司法試験合格を目指していたのですが、学生時代に現役合格は叶わず、かといって就職せずに合格を目指せるほど実家は裕福ではなかったので、まずはどこかに就職しようと考えました。

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長CIOの藤野英人氏

大学の指導教授にその旨を伝えたところ、金融機関に就職してみてはどうかと言われました。法曹界の人たちは金融に疎いから、金融業界である程度働いた後に法曹界を目指すと付加価値が高まるのではないか、という配慮があったのでしょう。
ただ、これは私も慧眼だったと思うのですが、その指導教授からは、就職先を選ぶにあたってこう言われました。

「リーディングカンパニーであること、成長産業であること、採用人数が少ないこと。この3つを満たす会社を選びなさい」。

その心は、リーディングカンパニーには優秀な人材が集まっているし、成長産業で働くのが望ましいのは言うまでもない。また人数が少なければ単価が高くなる、ということでした。当時はバブルのピークだったので、どの金融機関も大量採用が当たり前。でも、指導教授が言うには10人以上を採用するところには行くべきではないという考えを持っていたのです。

最終的に野村投資顧問(現在の野村アセットマネジメント)に入社しました。なぜ、わざわざ野村証券に行かず、子会社に行くのかと言われましたが、野村投資顧問は先生の言う条件にピッタリだったのです。新卒の採用人数は4人でしたし、投資顧問業界のリーディングカンパニー。また投資顧問ビジネスは、規制緩和によって将来を期待されている分野だったのです。

実際、私は入社して1年半後には、ファンドマネジャーとしてある程度、大きな資金の運用を任されました。同期が少なかったこともありましたし、投資顧問業法の改正によって運用資金がたくさん入ってきました。結果、ファンドマネジャーの人材不足が深刻化したのです。その結果、まだまだ若手ではあったのですが、大きなチャンスに恵まれたのです。